夕闇と夕菅。
そこでぼくはぽつねんと座っている
漠々とした野原が広がっている
ゆうすげが辺りに咲いている
夕焼けが橙に染めている
いまここはどこだろう。
遠くからぼくを呼ぶ声がする
風にのって低い声で
どこか聞き覚えのある声だ
ぼくはいったいなんだろう。
頭上には一羽の鳥がいる
見るにあれは夜鷹だろう
夜鷹はますます上昇し
星になって消えていく
ここはどこで
なんだろう
問いに答える人はなし
ただこの僕をひとり除けば
そこでぼくはぽつねんと座っている
漠々とした野原が広がっている
ぼくはぼくの問いを返すために
もうここにはいられない
ここはまだ来るところではなかったのだ
こんなところにいてはいけない
言葉の見せる夕闇に
問はあれど返事はない
夜にむかって歩いて行こう
朝焼けを見に歩いて行こう